全国でも珍しい奇祭として知られる酒(さけ)とり祭が11日、小矢部市下後亟(しもごぜ)の神明社で行われた。雨が降る肌寒い日となったが下帯姿の地元の男性がお神酒を見物人に飲ませたり、天高くまいたしたりして五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を祈った。
太鼓の合図で19~42歳の約20人がひしゃくを手に鳥居下から一斉に駆け出した。約30メートル先の神殿に駆け上がると、集落の役員からお神酒を入れてもらい、境内に集まった見物人に強引に飲ませた。酒がなくなると再び神殿に引き返し、用意された1升瓶20本分がなくなるまで振る舞い、天高くまいた。下後亟青年会長の森田聡一さん(30)は「雨が降って寒かったが、みんなの力で無事成功させることができた」と話した。
下後亟神明社春季例祭に合わせて行われ、300年以上前から続くと伝わる。市無形民俗文化財に指定されている。