観光庁は、各地の名所を訪日外国人客に巡ってもらう「広域観光周遊ルート」として昨年6月に認定した「東京圏大回廊」のモデルコースを公表した。三つのコースがあり、このうち佐渡市や糸魚川市など本県全域を巡る「自然大回廊(日本海)コース」は、豊かな自然や温泉、食文化を楽しめる。
同コースは羽田、成田両空港を発着点に新潟県や山梨県、長野県などにまたがり、8日間の日程のほぼ半分で本県内を訪れる。夏と冬のコースを設定し、夏は糸魚川市のジオパークや鵜の浜温泉(上越市)、佐渡金銀山(佐渡市)、冬は野鳥観察ができる福島潟(新潟市北区)や瀬波温泉(村上市)、ガーラ湯沢スキー場(湯沢町)といった県内観光地をそれぞれ回る。
東京圏大回廊は、東京五輪・パラリンピック開催の集客効果を周辺県まで広げる構想。本県を含む11都県や関係市町村、経済団体などでつくる「関東観光広域連携事業推進協議会」が推進し、今後はプロモーション活動や受け入れ体制の整備に取り組む。
政府は2020年までに訪日客年間4千万人の目標を掲げ、地方への誘客も図る。観光庁によると、16年の本県の外国人宿泊者の延べ人数(速報値)は推計26万人で全国27位だった。
県観光振興課は、国内最大の「玄関口」であり、訪日客が集中する首都圏と絡むコースに期待を懸ける。「訪日客のリピーターが増加している上、首都圏から地方に足を伸ばす傾向もある。それを取り込めば、まだまだ伸びしろがある」としている。
<広域観光周遊ルート> 自治体や企業などが連携して各地の観光地を結ぶコースを設定し、国が事業費の一部を支援する仕組み。2015年度に始まり、現在は全国で11地域31コースがある。本県関係では東京圏大回廊のほかに、新潟・村上地区や東北6県の計16地区で構成する「日本の奥の院・東北探訪ルート」の中で2コースが策定されている。