建て替えのため、14日で営業を終える上越市立水族博物館(西本町4)が連日、にぎわっている。同館は来館者に現施設を記憶に刻んでもらおうと、水を抜いた水槽に入れる企画を実施したり、最終日には「休館式典」を開いたりするなど最後までサービス満点で接客しようと張り切っている。
新水族博物館は現在、現施設の隣接地で建設が進んでおり、2018年に開館予定。1980年開館の現施設は生物を他の施設に引っ越しさせた後、解体される。
"最後の日"を前に館内ではメモリアルイベントを開催中。9日は縦横2メートル、高さ1・5メートルのアクリル製の水槽の側面に人が出入りできる大きさの穴を開け、中に入って魚気分を味わえるイベントを始めた。
同館によると、引っ越し作業の一環ではなく、あくまで来館者に楽しんでもらうための企画で、解体されるからこそできたという。
母親らと訪れた上越市三和区の幼児(4)は「床も岩もつるつるしていて楽しい」と水槽内を動き回った。母親の裕紀さんは「意外に中は広いのね」と驚いていた。
また6日には体の直径が1メートル余りのマダラエイから四つ子の赤ちゃんが誕生し、特設水槽で展示されている。昼の水中餌付けショーでは、ダイバーが「37年間ありがとう」と感謝を伝える旗を持ち、思いを伝えている。
水族博物館は解体前に一目見ようとの駆け込み需要が起きており、普段より混雑気味だという。スタッフの阿部千春さんは「間もなく見られなくなるので心残りとなることなく、楽しんでほしい」と話している。
休館式典は14日午後2時からで、指定管理者の横浜八景島(横浜市)の布留川信行社長らがあいさつし、園児らが水族館の歌を披露するなどフィナーレを飾る。入場無料。
営業は午前9時~午後5時。問い合わせは同館、025(543)2449。