安曇野市内を流れる農業用水路「拾ケ堰(じっかせぎ)」が昨年11月に「世界かんがい施設遺産」に登録されたことを受け、市や県拾ケ堰土地改良区(安曇野市)などでつくる実行委員会は7月28日、記念式典を市堀金総合体育館で開く。24日、市内で実行委の初会合があり、地域の堰や豊かな水、農地をかけがえのない財産として次世代に受け継ぐ契機とすることを確認した。
世界かんがい施設遺産は、国際かんがい排水委員会(ICID)が歴史的価値がある農業用水利施設を登録する。式典には、県や市、同土地改良区の関係者らが出席予定。式典後には一般参加も受け付け、市豊科郷土博物館の百瀬新治館長が拾ケ堰について記念講演する。同土地改良区は記念碑を建てる計画だ。
実行委会長の宮沢宗弘市長はこの日、「歴史と伝統のある堰を守りながら広く発信し、農業や観光振興などにつなげていきたい」とあいさつした。
拾ケ堰は松本市の奈良井川で取水し、安曇野市の烏川に至る全長約15キロで、1816年の開削。水不足に困った農民らが協力し、着工からわずか3カ月で完成させた。緻密な測量と計画で標高570メートルの等高線にほぼ沿った形で緩やかに流れており、高度な技術の集大成だった。