選び抜いた花材で生命力あふれる作品を仕上げる華道家=金沢21世紀美術館

選び抜いた花材で生命力あふれる作品を仕上げる華道家=金沢21世紀美術館

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生命力あふれる美描く 総合花展金沢展、6日開幕

北國新聞(2017年6月6日)

 石川県内最大規模の第22回総合花展金沢展(県いけ花文化協会、北國新聞社主催)の開幕を翌日に控えた5日、金沢21世紀美術館市民ギャラリーで、前期展の生け込みが行われた。出品者が鮮やかな初夏の花々や新緑の枝を会場に運び込み、白いカンバスを思わせる芸術空間いっぱいに、生命力あふれる花の美を描いた。
 生け込みが行われた会場は、華道家の気迫で満ちあふれた。出品者は構想を重ねながら育て、この日のために切り出した庭木や、開花を見定めて求めた花など、選び抜いた花材に再び命を吹き込んだ。ある出品者は樹齢を重ねたマンゲツの老木を切り、総合花展の晴れ舞台で有終の美を飾る作品に仕上げた。
 現代美術の殿堂で、アートを思わせる生け花を発表する出品者も見られた。白いカラーに、カラフルなフラフープを組み合わせてリズムを出した作品や、高さ2メートルのオブジェを自ら図面を引いて制作し、白ユリやカスミソウなどの花を配して心象風景を表現した作品もあった。
 美術館ならではの高い天井や白壁を巧みに作品に取り入れた出品者は、刀身のようなショウブの葉や、しなやかなフトイを天に届かんばかりに高く生け、花の直線美を伝えた。
 花ショウブをあえて壁際に生け、白壁に花の紫を映すように工夫した作品や、クラフトパンチで葉に小花型の穴を開けて壁の白を透かし見せ、抜き型を水面に浮かべた遊び心ある作品など、自由な発想が光った。
 県いけ花文化協会の専務理事、常務理事の計13人は、全期間通して展示される特別大作を完成させた。
 同協会が毎年開催する総合花展には、16流派331人の華道家が垣根を超えて作品を寄せる。前期は8日まで、後期は9~11日となる。入場料は500円(中学生以下無料)。

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