「ジロちゃんも年を取ったねぇ」。福井市の足羽山公園遊園地(ミニ動物園)インコ舎の前では時折、鮮やかなグリーンの老インコに話しかける人の姿が見られる。目線の先には、一羽のメジロムジボウシインコ。滋賀県内の私設動物園から1994年に寄贈され、園内の最長老組になった。インコの寿命は約30年。寄贈当時の子どもたちが、親になって来園する様子をケージの中から見守っている。
得意な言葉は「バイバイ」と大きな笑い声。ほかにもはっきりとは聞き取れないが、つぶやくように話すことがある。その聞こえ方は来場者の受け止め方次第。「どこ行くの」「ばかやろう」、中には「ナカジマ君いますか」と聞こえたという意見も。ケージの前のベンチに座り長時間、ジロちゃんとの"会話"を楽しんでいく人も珍しくない。
23年前にジロちゃんを寄贈したのは、警察署や交番に届けられる動物を自宅で保護し、最後には私設動物園(現在は閉園)まで作った元京都府警の有城覚さん(池田町出身)。ジロちゃんのつぶやきは2013年末に亡くなった有城さんを懐かしむ声かもしれない。
同遊園地スタッフの西本真由実さんは「ジロちゃんは動物園にとって大切なスター選手。いつまでも長生きしてほしい」と話している。