松本市街地に8席の食堂を開業した赤羽さん=松本市深志

松本市街地に8席の食堂を開業した赤羽さん=松本市深志

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「根を下ろす」松本に食堂 都内で活動の料理研究家

信濃毎日新聞(2017年6月27日)

 男性2人の料理ユニット「つむぎや」として都内で活動する松本市の料理研究家、赤羽(旧姓・金子)健一さん(42)が、同市のあがたの森通り沿いにカウンター8席、週3日営業の食堂「Alpsgohan(アルプスごはん)」を開いた。この3年は自宅と都内の仕事場を行き来しているが、家族が暮らす松本市に根を下ろそうと初めて自ら営む店を開業。地元の農家らとつながりを持ちながら経営している。

 広さは調理場を含めて約20平方メートル。赤羽さんは「動きやすく、お客さんとの一体感もある」と話す。窓際のベンチが「お客さんに一番見せたい」という親子席。子育て中の人に食卓を囲むようにくつろいでもらおうと、諏訪市の会社に依頼してベビーベッドの廃材やツガの古材で作った。

 営業は木金土曜日の午前11時半〜午後8時(木曜日は午後7時まで)で、アルプスごはんプレート(税込み1100円)、黒カレー(同900円)を提供する。コメは安曇野市でアイガモ農法を利用して栽培した玄米を使用。野菜は、農薬や化学肥料を使わない、在来種を生産している、といったこだわりの農家などから調達している。メニューには農家の名前も添えている。

 「食材の作り手がいて僕らの仕事は成り立つ」。料理ユニットを12年続け、大切にしてきたことだ。松本でも畑を訪ねて仕事への思いを語り合い、関係を築いてきた。開店後に来店した客はご飯粒まで残さず食べ、「思いが伝わっている」と感じている。

 横浜市出身の赤羽さんは、大学時代に和食店でアルバイトしたのを機に調理師免許を取得。「つむぎや」として料理イベントの企画や雑誌連載、料理本の制作を手掛けている。3年前、住民票を妻の実家のある松本市に移し、長男(6)の今春の小学校入学までを目標に開業準備を進めてきた。

 近くに移転したブックカフェ「栞日(しおりび)」の旧店舗1階に出店。約2年前、栞日の店主菊地徹さん(30)と知り合い、その翌月から同店で料理教室が始まった。「いろんなご縁がつながり、初心に立ち返る場」として、店の窓には栞日の時からあった山並みの絵を残している。

 赤羽さんは「農家の野菜やお米のおいしさを伝えるべく、全力で料理を作りたい」と話している。問い合わせは営業日にアルプスごはん(電話0263・87・5377)へ。

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