うば尊の護符をはじめ初公開資料を確認する細木学芸員

うば尊の護符をはじめ初公開資料を確認する細木学芸員

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「うば尊信仰」身近に 15日から立山博物館で企画展

北日本新聞(2017年7月13日)

 立山町芦峅寺の人々が「おんばさま」と呼んで守り継いできたうば尊をテーマにした企画展「うば尊を祀(まつ)る」が15日、立山博物館で始まる。布教に使った護符「立山御うば尊」など初公開資料を含む65点を展示し、うば尊信仰の広がりを紹介する。8月27日まで。

 立山信仰は土着の信仰に外来の仏教が結び付いて重層的になっており、うば尊は象徴的な存在だ。芦峅寺には明治初年まで、「うば堂」と呼ばれる御堂があり、本尊3体を含む69体のうば尊像が祭られていた。見開いた目にあばら骨が見える胸、片膝を立てる姿が恐ろしく、三途の川の渡し場で死者の装束をはぎ取る奪衣婆(だつえば)のイメージが重ねられているとされる。今回は現存する14体のうち8体を展示する。

 芦峅寺衆徒らは全国に布教地区「檀那場(だんなば)」を持っており、企画展では信仰の広がりに着目。芦峅寺のうば尊との関連が伝えられている西正院(長野県大町市)の「大姥尊像」、大慶院(新潟県十日町市)の「大日姥婆尊像」、乗久寺(福井市)の「あし倉媼婆(あしくらおんば)尊像」を現地調査を踏まえて紹介する。

 愛知県内で見つかったうば尊の絵入りの護符、旧宿坊家に伝わる版木などを展示。奪衣婆が描かれた「地獄・極楽絵図」の第三図(大慶院蔵)、あし倉媼婆尊像の由来を記した「あし倉之媼婆縁記並序」(乗久寺蔵)も初公開する。

 江戸時代、立山登拝を許されなかった女性たちが極楽往生を願った儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」ではうば尊が重要な役割を果たした。3年に1度再現される儀式が9月24日に行われるため、展示担当の細木ひとみ学芸員は「芦峅寺のうば尊の魅力を感じてもらいたい」と話す。北日本新聞社後援。

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