青木村奈良本の滝川をさかのぼっていくと「滝山不動滝」が見えてくる。険しい岩場をしぶきを上げながら流れ落ちる水は、木々の緑も相まって涼感にあふれている。
同村観光協会によると、滝川の上流部にある三つの滝を「滝山不動滝」と総称し、下流側から「一の滝」「二の滝」「三の滝」と呼ぶ。村内に飲料水や農業用水などを供給する滝川ダムから山道を歩いて30分ほどで一の滝に到着。さらに30分ほど歩くとたどり着く二の滝は、落差が約35メートルあり、三つの滝の中では最も大きい。近くには不動明王像を祭ったお堂もある。最も上流にある三の滝へは道が無く、その姿を見るのは容易ではない。
下流の集落にある滝仙(りゅうせん)寺は、16世紀後半に現在の場所に移るまでは一の滝の近くにあったため、滝とのゆかりが深い。住職の堀内直文(じきぶん)さん(68)によると、かつて滝は行者たちの修行にも使われていたといい、「清水が勢いよく流れる滝は神聖な場所。今は生活に欠かせない大事な水源でもあります」。