栗沢山山頂でCMの飲料水を手に写真を撮り合う登山者。気分はもう宇多田ヒカル?

栗沢山山頂でCMの飲料水を手に写真を撮り合う登山者。気分はもう宇多田ヒカル?

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CM効果、栗沢山が人気 宇多田ヒカルさん出演

信濃毎日新聞(2017年8月23日)

 南アルプス駒ケ岳(2967メートル)を間近に望み、長野・山梨県境の北沢峠から2時間ほどで着く栗沢山(2714メートル)が注目されている。歌手の宇多田ヒカルさんが出演し、昨年秋に放送された飲料水のテレビCMがきっかけだ。登山者たちはCMをまねて、途中の清流や山頂で写真を撮って写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿したり、会員制交流サイト(SNS)で感想を発信したりして楽しんでいる。

 CMは「水の山行ってきた」という宇多田さんのつぶやきが表示されて始まり、北沢峠から仙水峠を経て、栗沢山を目指す宇多田さんの映像が流れる。飲料水を販売するサントリー食品インターナショナル(東京)によると、「若い世代を中心に共感を得られるようなアイデアを盛り込んだ」という。CMをまねて登る人は、宇多田さんと同じ場所で撮影した写真や動画を投稿している。

 東京の会社の同僚で、今月上旬、栗沢山に登った加藤孝之さん(47)と森村寛さん(44)は、宇多田さんをまねて山頂で「ありがとう」と叫ぶ様子の動画を撮影し、インスタグラムや無料通信アプリ「LINE」に投稿した。「これがやりたかった」と満足げだ。

 北沢峠にあるこもれび山荘の管理人竹元直亮(なおあき)さん(44)によると、昨年秋から栗沢山への行き方を尋ねる人や栗沢山へ登る目的で宿泊する人が目立ち始め、今季は例年の2倍ほど。「これまでは知る人ぞ知る山だったのに」とCM効果に驚く。北沢峠まで南アルプス林道バスを運行する伊那市の担当職員によると、CM放送後の昨年11月は例年の2倍近い約1400人がバスを利用したという。

 栗沢山は比較的初心者向けとされるが、頂上直下は急な岩場が続き、両手両足を使ってよじ登る場所がある。「宇多田さんも登ったので楽かなと思ったが、結構きつかった」と加藤さん。市長谷総合支所職員で南ア北部地区山岳遭難防止対策協会の救助隊長を務める宮下健吾さん(48)は「ちょっとした不注意が事故につながる。今年はお盆を過ぎても雷が多く、雨具も必ず持参してほしい」と話し、基本装備を整えた安全な登山を呼び掛けている。

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