全面オープンした富山県美術館。一般公開前に大勢の人が列をつくった=富山市木場町

全面オープンした富山県美術館。一般公開前に大勢の人が列をつくった=富山市木場町

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「美の拠点」体感 富山県美術館全面オープン

北日本新聞(2017年8月27日)

 富山駅北の富岩運河環水公園で整備が進められてきた富山県美術館(富山市木場町)が26日、全面オープンし、開館記念展第1弾「生命と美の物語 LIFE-楽園をもとめて」やコレクション展が始まった。前身の県立近代美術館の理念を継承しつつ、これまで以上にデザインの視点を取り入れた新美術館。初日は7832人が訪れ、生まれ変わった「美の拠点」を体感した。

 富山県美術館は、昨年末に閉館した近代美術館が移転、改称した。建築家の内藤廣さん(神奈川)が設計し、総工費は85億円。「アートとデザインをつなぐ」美術館を目指し、「見る」「創る」「学ぶ」といった体験を重視している。3月25日にアトリエやレストランがオープン。4月29日から屋上庭園「オノマトペの屋上」が開放され、8月25日までに57万7千人が訪れた。

 大小六つの展示室を備え、企画の規模に応じて多彩な展示が可能になった。開館記念展は、アートの根源的な主題である「生命」をテーマに170点を紹介。印象派の巨匠ルノワールから、20世紀のモダンアートを代表するピカソ、日本の近代絵画に大きな足跡を残した青木繁まで、国や時代を超えた幅広い作品をそろえた。観覧者は1400人に上った。

 美術品を飾る常設展「コレクション展I」は、近代美術館時代の「20世紀美術の流れ」を伝える内容から、「肖像」「動物」などテーマ別の展示に変更。県が新たに購入した洋画家、藤田嗣治(つぐはる)の「二人の裸婦」も並べた。椅子とポスターを扱う「デザインコレクションI」、富山市出身の美術評論家、瀧口修造のゆかりの品々を集めた「書斎という小宇宙」もスタートした。

 記念式典には県在住の国会議員や県議、美術関係者ら300人が出席。石井隆一知事が「アートとデザインをつなぎ、美術の将来を担う子どもたちを育てる美術館にしたい」とあいさつした。田畑裕明厚生労働政務官と稗苗清吉県議会議長、青柳正規元文化庁長官が祝辞を述べ、テープカットで開館を祝った。午後1時前に一般公開が始まると、開館を待ちわびた人たちが続々来館。コンサートなど多彩な催しも繰り広げられた。

 開館記念展は11月5日まで。北日本新聞社など主催。

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