山口さん直筆の「千曲川」の歌詞を転写したパネルと、山口さんが愛用していた野球のグラブ形ソファや日用品が並ぶ展示館

山口さん直筆の「千曲川」の歌詞を転写したパネルと、山口さんが愛用していた野球のグラブ形ソファや日用品が並ぶ展示館

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山口洋子さん伝える場に 千曲・上山田温泉に展示館

信濃毎日新聞(2017年8月30日)

 作詞家で直木賞作家の故・山口洋子さんの遺品を並べた「山口洋子千曲川展示館」が、千曲市上山田温泉に開館した。山口さんは、自身が作詞した歌手五木ひろしさんのヒット曲「千曲川」の歌碑が温泉街近くにできた縁で、頻繁に同温泉を訪れていた。温泉を供給している上山田温泉株式会社が遺品を無償で借り、功績を伝える場にした。

 山口さんは名古屋市出身。東京・銀座で高級クラブを経営しながら、五木さん、八代亜紀さんらのヒット曲の作詞を手掛けた。小説も書き、85年に「演歌の虫」と「老梅」で直木賞を受賞。2014年、77歳で亡くなった。

 1990年、上山田町(現千曲市)と上山田温泉観光協会が「千曲川」の歌碑を地元に建てたいと山口さんに依頼。山口さんは、このころからたびたび同温泉に泊まり、92年に直筆の歌詞を彫った歌碑が完成した後も数カ月に1度は訪れた。軽井沢に別荘を持っていたこともあり、長野県を「第二の古里」と言っていたという。

 山口さんが亡くなって約1年後、同温泉株式会社の小平悟朗社長(76)は、本などの遺品を預かってくれる場所を探していると山口さんのマネジャーだった男性から聞き、温泉街にある同社倉庫で引き受けることに。東京にある男性の事務所から「トラック3台分」の本や愛用品を運んだ。「新たな観光スポットにしよう」と倉庫1階を展示館に改修、6月に完成した。

 展示館は、山口さんの足跡をたどる年表や写真パネル、著書、日本レコード大賞などのトロフィーや盾を並べた。自宅にあったダイニングセットを置き、仕事場を再現したスペースも設けた。入り口には歌碑と同じ直筆の「千曲川」の歌詞を転写したパネルを設け、その前に愛用していた野球のグラブ形のソファを置き、記念撮影ができるようにした。

 小平社長は「山口さんはざっくばらんで、あれだけ多くの賞を受賞しても全く偉ぶらない人だった」と振り返る。展示館にはカラオケもあり、「年配の人には懐かしい曲ばかり。ツアーや同窓会などで来てもらい、山口さんの曲を歌っていってほしい」と話している。

 午前10時〜午後4時(正午から1時間は閉館)。不定休。入館料300円で、同社が経営する公衆浴場「かめ乃湯」の入浴券付きは500円。カラオケは1曲200円。問い合わせは平日の日中に上山田温泉株式会社(電話026・275・1001)へ。

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