日本の棚田百選の一つ、飯田市千代の「よこね田んぼ」で、約100株あるフジバカマの花の蜜を求め、アサギマダラが集まっている。29日は、チョウが舞う姿を写真に収めようと、多くの写真愛好家たちが訪れた。淡いピンク色の花とアサギマダラが、澄み切った青空や黄金色に輝く稲穂と共演している。
山の斜面に広がる110枚(計約3ヘクタール)の棚田のうち、水回りの悪い5、6枚が休耕田に。美しい景観を守ろうと、地元住民でつくる「よこね田んぼ保全委員会」と「南信州アサギマダラ愛好会」が協力し、昨春にフジバカマを植えた。
愛好会は10年前、同市千代の法全寺地区をアサギマダラの里にしようと発足。徐々に活動の幅を広げ、現在は千代小学校など各地にフジバカマの株を譲るなどしている。
アサギマダラが飛来するのは、よこね田んぼでの収穫祭と同時期。愛好会会長の関口兼善さん(74)は二つを同時に楽しめる催しを来年以降に開きたい考えだ。「(棚田に)フジバカマを増やしたい」といい、アサギマダラだけでなく、観光客も呼び込みたいとしている。