下伊那郡阿智村清内路で江戸時代から伝わる「手作り花火」(県無形民俗文化財)が6日夜、上清内路諏訪神社に奉納された。飯田下伊那地方は、昼ごろから雨降り。闇夜の中、金色に輝く火花を散らす仕掛け花火が浮かび上がった。
仕掛け花火は上清内路の伝統で、火薬の配合などが担当者以外には秘密という「葡萄(ぶどう)」から始まった。手筒花火から勢いよく火の粉が飛び出た後、48房のブドウをかたどった花火が紫色に光った。雨の影響でうまく点火できないものがあると、観客から「頑張れ」と声援が送られた。
初めて訪れた栃木県下野市の会社員大塚真衣さん(33)は「オリジナル感があってすごかった。全部手作りなんですね」と驚いていた。
住民67人でつくる上清内路煙火同志会が8月下旬から準備を進めてきた。この日は、火薬がぬれないよう、仕掛け花火にビニールを掛けるなどもした。同志会の会長桜井信和さん(61)は「花火の途中で一時的に雨に降られることはこれまでにもあったが、最初からずっと雨というのは久しぶり。それでも、会員たちが頑張った成果を見てもらうことができて良かった」と話していた。
清内路には手作り花火の団体が二つあり、下清内路煙火有志会は14日夜、下清内路諏訪神社・建神社に奉納する。