飯田線ゆかりの人物の文書などを展示した特別資料展

飯田線ゆかりの人物の文書などを展示した特別資料展

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飯田線、歩み伝える70点 飯田で特別資料展

信濃毎日新聞(2017年10月28日)

 JR飯田線全線開通80年の歴史を郷土資料などで振り返る特別資料展が28日、飯田市の市立中央図書館で始まる。誘致や敷設に尽力した地域ゆかりの人物に関する文書や関連書籍約70点とともに、飯田下伊那地域を中心とした交通史の変遷をたどる。11月5日まで開き、初日は図書館職員らによる展示解説がある。

 同市出身の帝国議会議員伊藤大八(1858〜1927年)が1894(明治27)年、中央線が木曽谷経由と決定する直前に伊那谷方面への敷設の必要性を地元で説いた演説草稿など、図書館所蔵資料を公開する。ともに飯田線の前身である、伊那電気鉄道の役員だった伊原五郎兵衛(1880〜1952年)、三信鉄道(天竜峡―三河川合)の建設に従事したアイヌ民族の測量技術者川村カネト(1893〜1977年)らの年譜などをパネルで解説している。

 伊原が建設費を集めるために株式の購入を地元に呼び掛けた内容や、人力による運送業者の減少を伝える明治から大正期の新聞記事も展示。三信鉄道を施工した熊谷組が1937(昭和12)年に発行した「全通記念写真帖(ちょう)」からは、人々が建設資材を持って山間部を登る様子などが分かる。

 また、天竜川での船の往来から始まる伊那谷の交通の変遷も紹介。中央道開通や2027年開業予定のリニア中央新幹線についても触れた。担当した館長補佐の滝本明子さん(52)は「飯田下伊那地方の交易、交流の歴史を振り返ることで、リニア開通に向けても地域の発展を考えるきっかけになればいい」と話す。

 図書館職員による展示解説は午前10時半〜正午。館内では、線路に見立てたビニールテープを床や壁に張り巡らし、飯田線全94駅の駅舎の写真をテープに沿って展示した。展示解説の時間帯には、2階の展示室入り口で、飯田線で最後に開通した大嵐―小和田駅間にテープを張る「開通式」も行う。

 開館時間は午前10時〜午後6時(11月2日は午後8時)。30日は休館。

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