飯田下伊那地方特産の干し柿「市田柿」の加工作業が本格化している。各農家の作業場には、実をひもでつるした「柿すだれ」が現れ、秋を彩っている。下伊那郡松川町上片桐の果樹農家矢沢克朗さん(43)宅でも6日、干し柿作りが行われた。
ピーラーが付いた機械で皮をむき、実を手作業でひもにくくりつけていく。毎年作業を手伝っている女性は慣れた手つきで「この風景を見ると、秋が来たという感じがする」。
矢沢さんによると、今年は長雨で柿が水を吸いすぎてしまうなどして、ひび割れや果肉が柔らかすぎて皮がむけないものがあった。「(収穫した柿のうち)3割は売り物にならない」と矢沢さん。ただ、「(残っているものは)干し柿にしたらきっとおいしい」と話す。
飯田市のみなみ信州農協は今季、昨季より1割ほど少ない1150トンの出荷を見込む。1カ月ほど干された後、今月下旬ごろに出荷が始まり、12月下旬ごろに最盛期を迎える予定だ。