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建築と工芸、響き合う 金沢21世紀工芸祭

北國新聞(2017年11月8日)

 金沢21世紀工芸祭(北國新聞社特別協力)の「工芸建築」展は7日、金沢21世紀美術館で幕を開けた。「工芸建築」という新たな概念を地元で活躍する建築家、工芸作家、画家ら11人が形にする初めての展覧会で、来場者は建築と工芸が響き合った9点を鑑賞し、美意識に触れた。
 「工芸建築」は作家の創意を建築という器に解き放ち、建物に工芸としての価値を持たせようという考えで、金沢で数年前から議論が行われている。同展では地元作家らが工芸建築をさまざまに表現し、可能性を探った。
 金沢のまちを具体的にイメージし、創作した作家もいた。画家の眞壁陸二さん(46)=金沢市=は、鈴木大拙館近くの瞑想(めいそう)空間という想定で、珠洲市の奥能登国際芸術祭で発表した「青い舟小屋」の部材を解体、「三角屋根の小屋」を作り上げた。雪の降る地域に多く見られる屋根は、珠洲の景色や海を表現した絵をつなぎ合わせている。
 しいのき迎賓館前の石垣を背景に構想した漆工の西村松逸さん(60)=金沢市=は、棒寒天の質感を生かし、月光に浮かぶ「白く曖昧な空間」を表現した。小立野台地に実在する町家を題材に、陶芸家と建築家がリノベーションを試みた作品も並び、来場者は会場を巡りながら、工芸建築の描く未来を考えた。
 工芸祭は「21世紀鷹峯(たかがみね)フォーラム石川・金沢」(本社特別協力)の一環となる。同展は19日までで、入場無料。17日には参加作家らによる記念トーク「工芸建築の魅力と可能性について」が開かれる。

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