木曽地方で特産の漬物「すんき」の漬け込みが始まり、地元の店頭には早速、商品が並んでいる。農林水産省が地域の農林水産物・食品をブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」の登録を5月に受け、初めて迎えるシーズン。生産者は知名度向上を願いながら作業を続けている。
すんきは、塩を使わずに赤カブの葉や茎を乳酸発酵させて作る。生産の中心は木曽郡木曽町、王滝村、木祖村。中でも木曽町は売り上げを倍にして「1億円産業を目指す」としており、本年度は首都圏の百貨店ですんき入りのみそ汁試食会や市場調査をする予定。昨年度は町内で32トン生産し、本年度は40トンを目指す。
同町開田高原の合同会社「おんたけ有機」では8日、従業員が朝から作業。葉を洗い、刻んで湯通ししてから、あらかじめ作った「種」と呼ばれるすんきと交互に重ねてたるに詰めていった。保温して発酵させた後、涼しい場所に置くと数日で完成する。近くにある同社の直売施設「彩菜館」でGI専用のマークを付けて販売を始めた。
営業担当の木下正治さん(34)は「GIに登録されたこともあり、作り方にこだわった本物を味わってもらい、売り上げアップにもつなげたい」と期待していた。