福井県南越前町が進めてきた同町今庄にある大正時代の古民家「旧齋藤家」の改修工事が完了し、レストラン「しげじろう」として11日オープンする。レトロな建築様式や豊かな自然風景とともに、おろしそばなど地元の味を楽しめる。10日に住民向け内覧会が行われた。
1922(大正11)年建築の木造2階建て。長年空き家だったため解体も検討されたが、北国街道の宿場町として栄えた今庄宿の代表的な建物を守ろうと、住民団体が保存活動を続けてきた。
町の「今庄宿プロジェクト事業」の一環で、2016年度に土地・建物を取得。食事の場がほしいという観光客の声を受け、飲食施設として再生することにした。本年度は外装と1階内装を改修した。総事業費は約5272万円。
1階(約167平方メートル)を活用し、10畳二間の和室など3カ所に45席を設けた。住民グループ「今庄宿プロジェクト協議会」のメンバーらでつくる一般社団法人「旅の宿 今庄 夢乃舎(ゆめのや)」が運営する。店名は同家の初代家主の名前にちなんだ。町の特産を盛り込んだ料理は同町湯尾のすし店「鶴文」が提供する。
内覧会には地元住民ら約70人が訪れた。透かし模様のシャンデリアや富士山があしらわれた書院障子など、大正ロマン漂う店内を見渡し「いいもんになった」「残って良かった」と喜びの声が聞かれた。夢乃舎の寺木利和代表理事(69)は「今庄宿の景観を守れた。旅人が行き交った江戸時代のようなにぎわいを取り戻すのに貢献できれば」と話している。
営業は毎週火曜を除く午前11時~午後2時。予約はしげじろう=電話0778(67)1428。