かつての商家の名残を感じさせる越乃雪本舗大和屋店舗兼主屋=長岡市柳原町

かつての商家の名残を感じさせる越乃雪本舗大和屋店舗兼主屋=長岡市柳原町

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新潟県内5件有形文化財に 越乃雪本舗大和屋(長岡)など

新潟日報(2017年11月20日)

 国の文化審議会(馬渕明子会長)は17日、長岡市の越乃雪本舗大和屋店舗兼主屋と、小千谷市の潮音寺の観音堂と山門、妙高市の関山神社の本殿・幣殿(へいでん)・拝殿(はいでん)と宮殿(ぐうでん)の県内計5件を含む188件の建造物を登録有形文化財にするよう林芳正文部科学相に答申した。近く告示され、本県の建造物の登録有形文化財は460件となる。

◎越乃雪本舗大和屋店舗兼主屋(長岡) 漂う商家の雰囲気

 長岡市柳原町の和菓子店「越乃雪本舗大和屋」の店舗兼主屋は、2階建ての切り妻造り妻入で、伝統的な日本建築の外観をもつ。入り口に雁木(がんぎ)が設けられ、店内には畳敷きのスペースや床の間があり、昔ながらの商家の雰囲気が漂う。

 同店は1778年、現在「越乃雪」として販売される菓子を長岡藩主に献上。これを機に藩の御用達となった。1945年の長岡空襲で被災し、現在の建物は47年ごろに再建した。50年代前半の増築を経て、現在の外観に至ったという。

 10代目の岸洋助社長(73)によると、戦後の再建の際、空襲前の店舗を模して建てたという。岸社長は「長岡の歴史を感じさせる財産として大事にしていきたい」と話した。

◎潮音寺の観音堂と山門(小千谷) 躍動感のある彫刻

 小千谷市小粟田の潮音寺は1260年の創建とされる曹洞宗の寺院で、1817年建築の観音堂は墓地の一角に立つ。

 四方に勾配のある屋根の上部に切り妻屋根を架けた入り母屋造りで、軒を支える部分に躍動感のある鳥や獣の彫刻が配置されている。

 本尊の観世音菩薩(ぼさつ)を安置している内部には、不動明王や毘沙門天(びしゃもんてん)、釈迦(しゃか)の弟子の木像が並んでいる。

 江戸時代後期に建てられた潮音寺山門は本堂の正面にあり、間口は2・9メートル。瓦ぶきが目を引く切り妻造りで、拳のような形の装飾が施されている。

 槙東脩(とうしゅう)住職(36)は「本尊の開帳は住職1代で1回しか行われていなかったが、今後は頻度を増やし、多くの人が参拝できるようにしたい」と話した。

◎関山神社本殿・幣殿・拝殿と宮殿(妙高) 神仏習合特徴濃く

 妙高市関山の関山神社本殿・幣殿・拝殿と宮殿は、神仏習合だった江戸時代の特徴を色濃く残す。

 本殿・幣殿・拝殿は1818年、宮殿を建物の中に取り込むように建てられた。本殿・幣殿・拝殿が一体の建物で、豪雪地帯特有の形式となっている。ケヤキの白木造りで随所に彫刻が施されている。

 白木造りの本殿・幣殿・拝殿と対照的に、1790年に建てられた宮殿は華やかな意匠を見せる。虹梁(こうりょう)と呼ばれる反りがある梁(はり)を妻飾りにし、軒の先端を紅白交互に塗り分けるなど色彩豊かな造りとなっている。

 氏子総代の内田正三さん(75)は「有形文化財の登録は念願だった。関山の活性化に弾みを付けたい」と喜んでいる。

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