福井県越前市の洋画家伊藤裕貴さん(49)の個展「再生―転生」(福井新聞社後援)が3日まで、市ふるさとギャラリー叔羅(しくら)で開かれている。東日本大震災からの再生や転生の願いを込めた大作など24点が並ぶ。
地元の芸術家を広く知ってもらおうと、市文化振興・施設管理事業団が23日から開催している。筑波大で美術を学んだ伊藤さんは、テンペラとアクリルを併用した混合技法で制作を続けており、これまで県美展やイタリア美術賞展など国内外の美術展で入賞。独立美術協会準会員で、県美展の審査員を務めている。
市内での個展は今回が初めて。展示作品は制作時期ごとに三つのシリーズに大別される。その一つ「再生の予感」は、震災発生後にボランティアとして宮城県石巻市を訪れた際の光景などを背景に描いている。中央には胎児をイメージさせる女性を配置し、再生に向けた願いや希望を込めた。
一方、近年取り組む「想―転生」は、同様に被災地と女性を題材に描きながらも、当時の惨状が忘れられつつあるという危機感から、破壊された建物などを強調している。伊藤さんは「震災については今後も描き続けていきたい」と話している。