福井県若狭町の三方湖に冬の訪れを告げる「たたき網漁」が2日、始まった。地元で古くから続く伝統漁法で、漁師が竹ざおで湖面をたたき、水しぶきを舞い上げながら、「バシャッ」という大きな音が静かな湖面に響き渡っていた。
水面を長さ4~5メートルの竹ざおでたたくことで、水温が下がり動きが鈍くなった魚を驚かせ、仕掛けた刺し網に追い込む漁。地元鳥浜漁協の組合員が行っている。例年1日に解禁になるが、強風の影響で今シーズン初出漁となった。
午前9時ごろ、5隻が出漁。5人が約200メートルにわたって網を仕掛け、網に沿って船を走らせながら勢いよく水面をたたいた。初回は体長約70センチのコイや、40センチほどのフナがかかった。
漁は3月末まで行われ、地元の民宿や料理店で刺し身や煮付けにして提供されるという。田辺喜代春組合長(66)は「三方湖の魚は脂がのって本当においしい。漁師の減少や高齢化も進んでいるが伝統を守り続けたい」と話していた。