浦安の舞を奉納するみこの人形を作る下町・藤見町保存会の住民たち

浦安の舞を奉納するみこの人形を作る下町・藤見町保存会の住民たち

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復旧願う住民、山車作りに熱 長和「おたや祭り」へ

信濃毎日新聞(2018年1月12日)

 小県郡長和町の古町豊受(とようけ)大神宮で14、15日に行われる例祭「おたや祭り」で、住民らが奉納する5基の山車を作る作業が大詰めを迎えている。11日は、古町にある五つの保存会が人形に顔を描き入れたり着物を着せたりと、それぞれ作業を進めた。同神社は昨年10月の台風21号接近で社務所などが大きな被害に遭った。住民らは心を痛め、復旧を願う思いを山車に表現した保存会もある。

 神社は台風の影響で境内の倒木が直撃し、お札などを販売する「神符(しんぷ)授与所」が全壊、社務所は一部損壊した。江戸時代から200年近く続くおたや祭りを続けようと、地域住民らは片付け作業に関わり、倒木の撤去や社務所の補強工事などを見守ってきた。

 山車は、それぞれの保存会が歴史や民話などの一場面を屋外の舞台に表現。祭りで唯一、境内に山車を作る下町・藤見町保存会は神社を大切にする思いを伝えようと、地元の少女が奉納する「浦安の舞」を場面に選んだ。

 11日は、同保存会の住民10人余が作業所に集合。少女の人形にみこの衣を着せたり、手に色を塗ったりと仕上げの作業をした。人形の着物は地元の女性らによる手作りで、じゅばんや赤いはかまなど4体分の着物を2日間で縫い上げたという。さらに舞で使う鈴などの小道具も再現した。

 同保存会の栗原暁史(さとし)会長(56)は「毎日、必死に制作してきたが、先が見えてきた」。台風で社務所などが被害を受けたことを踏まえ、「神社の再出発の一助になるといい。多くの人に楽しんでほしい」と話していた。

 おたや祭りは、固定式の山車作りなどの風習が県選択無形民俗文化財に指定。例年、2日間で延べ4万〜5万人の人出がある。人形は木材やわら、舞台は木の枝など身近な材料を使用し、素朴な農民美術を伝える。保存会はそれぞれ昨年末に場面を決め、1月4日に制作を始めた。14日朝には飾り付けを終える。

 山車は14、15日に披露した後、取り壊す。神社周辺では両日、交通規制が行われる。

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