北信濃の冬の風物詩「野沢温泉の道祖神祭り」(国重要無形民俗文化財)が15日夜、下高井郡野沢温泉村であった。火を付けようと社殿に向かう村民と食い止める厄年の男性たちによる激しい攻防が繰り広げられ、国内外の大勢の観光客らが訪れた会場は熱気に包まれた。
午後8時半ごろ、ブナで組んだ高さ十数メートル、幅8メートルの社殿を燃やそうと、たいまつを持った村民が突き進んだ。社殿の下では、数えで25歳の厄年の男性たちが待ち構え、火の粉をものともせずに村民たちを押し返していった。
1時間余の攻防の後、双方の手締めで社殿に火が放たれると、空高く火柱が立ち上り、観客らは社殿が燃え落ちるまで見守った。昨年2月、千葉県館山市から中野市に転勤で移り住んだ会社員の田部井快さん(26)は、村内に住む会社の同僚の案内で妻と初めて訪れた。「激しいぶつかり合いと炎の迫力がすごい。想像以上でした」と話していた。