中野市を中心とした干し柿の生産者34人でつくる中野市農協柿研究会は、干し柿の新ブランド商品「琥珀(こはく)の華(はな)」を開発し、出荷を始めた。同市は昔から干し柿がつくられ、飯田下伊那地方特産の「市田柿」も栽培。琥珀の華は、市田柿が「枝変わり」と呼ばれる突然変異から生まれた柿で、干すと甘みが強いのが特徴だ。ブランド化することで、地元の特産として広くアピールしていきたいとしている。
同研究会によると、中野市の干し柿生産者が十数年前、市田柿の枝変わりを見つけた。干して食べるとおいしかったことから、関係者が接ぎ木して増やした。枝変わりの柿の形は比較的幅広だったため、一般の干し柿として販売。その中で、知名度を高めて生産・販売の振興につなげようと、独自ブランドを作って売り出すことにした。
商品名には、干し柿の「琥珀」色と、干し柿の表面を覆う白い粉からイメージした「華」という言葉を組み合わせた。中野市農協は2017年8月、琥珀の華の商標を特許庁に出願した。
同研究会によると、琥珀の華は糖度が20〜22度ほど。市田柿に比べて果実の数が少ないため、収穫量が1〜2割少ない。収穫期も市田柿より10日ほど遅く、11月1日から1週間ほどで収穫しないといけないという。
出荷は同年12月に始まった。群馬県を中心にスーパーマーケットを展開するフレッセイ(前橋市)に1月末までに千パック(1パック200グラム入り)を出荷する予定で、1パック780円で販売されている。
現在、同研究会員10人が栽培しているが、まだ果実がならない木もある。18年度からは全ての会員が栽培に乗り出す計画で、10年後には4万パック(同)の出荷を目指す。中野市農協園芸課によると、16年度の干し柿の出荷量は14トンで、このうち12トンが市田柿だった。
会長の風間澄博さん(41)=中野市越=は「中野市のブランドとして知れ渡り、農家の潤いにつながればうれしい」。副会長の豊田清士さん(37)は「琥珀の華はとても甘くておいしい。干し柿を食べる人が増えてほしい」と期待している。