ユネスコ無形文化遺産に登録された南砺市の城端曳山祭で、行列の邪気ばらいを担う「剱鉾(けんぼこ)」の修復が終盤を迎え、22日、所有する新町の住民たちに作業の進行状況が報告された。修復を手掛ける城端蒔絵(まきえ)の16代目、小原好喬(よしとも)さんが輝きを取り戻すために細やかな技法を生かしていることを説明した。
5月の城端曳山祭は約300年の歴史があり、剱鉾は獅子舞と共に行列の先導を担う。城端曳山史によると、現在の剱鉾は1925(大正14)年から製作が始まったという。近年は特に動かす時に手にする「長柄(ながえ)」の劣化が目立つようになり、昨年6月から補修をスタート。小原さんら漆芸に携わる市内の3人の若手職人チーム「塗師屋治五右衛門(ぬしや・じごうえもん)」が作業に取り組む。
むき出しになっていた木材のすり減った部分や亀裂を補いながら、5、6回に分けて漆を塗り重ねた。異なる色の漆を使ったり、金具の形も同じものに加工したりして、本来の姿を損ねないよう復元している。小原さんは「漆器のおわんを持つような滑らかな仕上がりになる。先人から受け継いだものを確実によみがえらせたい」と話す。
引き渡しは3月を予定する。地域で剱鉾の保存・伝承活動に努めてきた永井良幸さんは「観光客にも劣化を指摘されるほどだったが、非常にいい仕事をしてもらっている」と話した。