蚕の品種「小石丸」を飼育する「カイコふれあいルーム」。美智子さまが養蚕の際に使われる物と同じ藁蔟を常設展示している

蚕の品種「小石丸」を飼育する「カイコふれあいルーム」。美智子さまが養蚕の際に使われる物と同じ藁蔟を常設展示している

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皇室の養蚕テーマに企画展 「シルク岡谷」陛下退位を控え計画

信濃毎日新聞(2018年2月8日)

 「シルク岡谷」と呼ばれ、製糸業で栄えた岡谷市の歴史や製糸技術の変遷を伝える市立岡谷蚕糸博物館は今秋、歴代の皇后が担ってきた皇室の養蚕をテーマにした企画展を計画している。2019年4月末に天皇陛下の退位を控え、皇室の養蚕も継承の節目を迎えることから発案。美智子さまが使われている養蚕の道具や皇室の養蚕を描いた錦絵を紹介する構想だ。

 皇室と養蚕のつながりは古く、日本書紀に雄略天皇が皇后に蚕の飼育を指示したとの記述がある。中断した時期もあったが、明治天皇の皇后(後の昭憲皇太后)が復活。大正時代の貞明皇后は昭和の香淳皇后に引き継いだ後も、大日本蚕糸会総裁として養蚕農家や製糸業者を訪問、激励したという。

 美智子さまは皇居の紅葉山御養蚕所で作業し、上田市由来とされる品種「小石丸」を飼育。取った生糸は正倉院宝物の修復に使われたり、織物に加工して外国元首に贈られたりしている。

 蚕糸博物館は、蚕に繭を作らせる道具「藁蔟(わらまぶし)」などを宮内庁から借りる計画。皇室での養蚕に尽力した貞明皇后を紹介するコーナーも設け、17年12月に同博物館と連携協定を結んだ東京農工大科学博物館(東京都小金井市)所蔵の錦絵なども飾る予定だ。今春に館内の「カイコふれあいルーム」で小石丸の飼育を始め、来館者にアピールする計画もある。

 岡谷市は18年度予算案に企画展の関連費用を盛り込む方針。高林千幸館長(67)は「皇室での養蚕の継承を望む国民の声を、『シルク岡谷』から届ける。皇室関係者にも来場していただけるよう努力したい」と話している。

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