明治時代後期から昭和初期にかけて活躍した日本画家、尾竹竹坡(おたけちくは)の初の本格的な回顧展が16日、県水墨美術館で開幕した。富山で手掛けた売薬版画から、文展(現在の日展)で最高賞を連続受賞した絶頂期の大作、表舞台から遠のいた後の実験的な作品まで50点をそろえ、波乱の人生と多彩な画風を伝える。3月25日まで。同館とチューリップテレビ、北日本新聞社主催。
回顧展は「生誕140年 尾竹竹坡展」と題して開催。開会式では、磯部賢県生活環境文化部長が「代表的な作品がそろっており、竹坡の画業に理解を深めてほしい」とあいさつした。
中川美彩緒館長と竹田光宏チューリップテレビ取締役社長室長、勢藤北日本新聞社取締役編集局長が加わり、テープカットした。
担当の遠藤亮平学芸員が、竹坡の人生に沿って作品が飾られた会場を案内。生まれ故郷の新潟から移り住んだ富山で制作した売薬版画から紹介した。
上京後の第4回文展で最高賞に選ばれた六曲一双びょうぶ「おとづれ」は、竹垣の緻密な描写が見どころと説明した。
中央画壇から離れてからの大正期では、西洋の前衛絵画を思わせる抽象的な「月の潤い・太陽の熱・星の冷え」を取り上げた。「同じ作家が手掛けたとは思えないほど、さまざまな作風に挑戦した。不遇と言われた晩年も、腕は衰えなかったことが分かると思う」と語った。