諏訪市湖岸通りにある温泉保養施設「片倉館」(重要文化財)が、広さ200畳余の大広間を中心とした会館棟の「フリー見学」の受け入れを始めた。諏訪湖周辺を拠点に製糸業を営んだ片倉家が、昭和初期に公共の福利厚生施設として建設した近代遺産。従来は予約やガイドによる案内が必要だったが、柔軟に内部を見学したいとの観光客らの声に応えた。
洋館風の外観を特徴とする片倉館は1928(昭和3)年完成で、2011年に重要文化財に指定された。玉砂利を敷いた大理石の大きな浴場「千人風呂」は誰でも利用できる。一方、13年11月に始めた会館棟のガイド付き見学は午後1時半からと3時半からの2回。「午前中に見学できないか」「ツアー時間に合わせられないので自由に見学したい」といった声が寄せられていたという。
片倉館はフリー見学導入に合わせ、展示室や大広間にA1判の解説パネル計5枚を掲示。Q&A形式で、施設建設費は現在の12億〜18億円に相当する、といった情報を提供している。同館は年間2千人の利用を目標にしており、山崎茂館長(65)は「ファミリー層に親しんでもらうきっかけにしたい」と話している。
フリー見学は午前10時〜午後4時(毎月第2、4火曜休館)。料金は高校生以上350円、小中学生100円。問い合わせは片倉館(電話0266・52・0604)へ。