「鯖復活プロジェクト」と銘打ち、刺し身でも食べられるサバの養殖が行われている福井県小浜市田烏に3月末、サバ料理専門店を全国展開し同市と連携協定を結んでいる「鯖や」(本社大阪府豊中市)が小浜店を出店する。近くには養殖場があり、市が水産物の加工拠点を整備する計画も進めていて、市は「養殖サバや鯖街道の発信に一役買ってもらいたい」と期待を寄せている。
鯖やはサバ料理専門の飲食店を国内外で15店舗展開。そのうち鯖街道をコンセプトにした「SABAR(サバー)鯖街道」を大阪、京都、東京に出店している。小浜店は鯖街道ブランドの4店目となる。
同社によると小浜店は客席20席前後で、姿づくり定食や塩焼き、かば焼きなど養殖サバを使ったメニューを提供する。同社の他店と異なり、ランチタイムからサバが楽しめる店にするという。「日当たりの良い海の家」をテーマに、民宿だった建物を改装し、同月31日にオープンする予定。
田烏の釣姫漁港沖にはサバの養殖場が設けられている。鯖街道の起点である小浜市内で複数の候補地の中から田烏に決めた同社は「市などと連携して養殖を進めてきた地で、鯖文化のストーリーを展開したい」としている。将来的に養殖いけす見学や給餌体験など催しも検討しているという。
市は旧田烏小校舎を魚の加工・共同配送の拠点に整備する計画を進行中。御子柴北斗政策幹(農林水産課長)は「養殖サバの安定的な供給先が地元にでき、鯖復活プロジェクトと鯖街道を広く発信してもらえる」と説明。さらに「現地では昼食も出す民宿は多くなく、観光客の長期滞在や連泊につながるなどの相乗効果に期待したい」と話している。