羽咋市が市中心部の羽咋神社周辺のカラスをタカで追い払う事業に乗り出して1カ月が経過し、カラスの生息数が半減したことが分かった。市によると、事業開始時に1千羽以上いたとみられるカラスは500羽程度に減少し、ふん害や鳴き声に関する苦情も減っている。カラスは郊外に逃げたとみられ、市は新年度もタカのパトロールを継続し、完全撃退を目指す。
追い払いは小松市在住の鷹匠(たかじょう)吉田剛之さん(45)の協力を得て、2月13日に始まった。吉田さんは夕方の2時間程度、タカ1羽を連れて職員と共に神社周辺を歩き、カラスの群れを見つけるたびに、タカを放ってカラスを威嚇している。
市は2月に10回、3月は13日現在までに3回の追い払いを行っており、タカを飛ばした直後は羽咋神社周辺のカラスはゼロになるという。ただ、追い払いを行わない日もあるため、再び神社周辺に戻ってくるものの、以前はふんで真っ白になっていた道路の汚れは目立たなくなり、地元住民からはカラスの減少を喜ぶ声が上がっている。
今回の追い払いに伴い、市は逃げたカラスが近隣の地域に移動し、市内で新たなカラス被害が出ることを懸念していた。事業を開始した2月中旬ごろは、近隣の町会の電線や街路樹に一時避難したカラスの姿が確認されたが、その後は郊外の邑知潟方面に逃げていったとみられている。
羽咋神社周辺をねぐらとするカラスは、地元町会にとっては20年来の悩みとなっている。これまでサーチライトを当てたり、花火の音で驚かせたりと対策を講じてきたが、抜本的な解決に至っていない。
市は、3月末まで残り5回の追い払いを行う。担当者は「確実に効果は出ており、カラスがまちなかに寄り付かなくなるまで、対策を続けたい」と話した。