須坂市の田中本家博物館は14日、田中家に残る接待記録「諸客賄方控帳(しょきゃくまかないかたひかえちょう)」に記されたひなの節句料理を再現し、予約制の食事会を開いた。献立はユリ根を桜の花の形に切って添えた白あえや、エビのすり身を入れて焼いた卵料理など。漆器に飾られた桃の花は控帳にない演出で、来館者10人が存分に春を味わった。
江戸時代の1849(嘉永2)年に須坂藩の家老や老中を招き振る舞った料理で、当時は貴重だったタイの刺し身なども並ぶ。食事会は毎年3月と10月に開き、昨年は6月も開催。控帳から季節に応じた料理を選び、市内の日本料理店に調理を依頼している。
仲間と毎年来ているという同市墨坂南の広間軌子(みちこ)さん(72)は「吸い物がハマグリの良い香りがしてとてもやわらかい味」。田中本家12代目当主の田中宏和さん(73)は「手の込んだ和食料理を江戸時代の食器とともに楽しんで」と話していた。
食事会は17、18、22、24、25、28日もあり、各日15人まで。参加費は入館料を含めて1万5千円。問い合わせは田中本家博物館(電話026・248・8008)へ。