「一本の赤い線」

「一本の赤い線」

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和紙アートが古民家にずらり 造形作家の橿尾さんが個展

福井新聞(2018年4月4日)

 福井県南越前町の和紙造形作家、橿尾正次さん(84)の個展「立体紙(りったいし) 橿尾正次の世界」(福井新聞社後援)が7日から、越前市余川町の万葉の里味真野苑にある国の重要文化財旧谷口家で開かれる。1980年代から現在に至るまでに制作した約15点を披露する。

 同市味真野地区を絵画や書作品などで彩る活動「ギャラリー窓」の10周年記念特別展として、ギャラリー窓実行委員会の依頼で開催する。

 橿尾さんは、62年から一貫して針金の骨組みに和紙を貼る手法で現代的なフォルムの作品を生み出してきた。ペーパーアートの先駆者として高く評価され、作品は83年に美術評論家の故中原佑介さんによって「立体紙」と名付けられた。

 95年に、イタリアのベネチア・ビエンナーレ展の「アルテ・ラグーナ'95」に参加し、現地制作。2004年には青森市の国際芸術センター青森で個展を開くなど国内外で作品を発表してきた。個展は13年に福井市で開いて以来、5年ぶりとなる。

 コウゾの生漉き紙を主に使い、柿渋やベンガラを塗ったり、藍染めや草木染めによって色彩豊かな作品もある。「一本の赤い線」は、むらを持たせた藍染めを基調に、アクリル絵の具による赤の着色が強烈な存在感を放つ。「田ノ神二捧ゲル光ノ塔」は、田植えに使った木枠を用いたもので、和紙本来の色を生かしている。明かりを通すことによって針金と木枠が模様のように浮かび、同時に多面的なフォルムが引き立つ。

 橿尾さんは「築210年という古民家を会場に、現代美術作品と江戸の民家の空間がどう響き合うか、私自身が楽しみだ。座敷や土間につるしたり、軒先に置いたりして、暮らしの中にある作品を見てもらいたい」と話している。 「音具(おんぐ)」と呼ぶ、音の出る作品も並べ、来場者に触って楽しんでもらいたいとしている。

 展示は15日まで。午前10時から午後4時半。土、日曜は橿尾さんが会場に詰めている。月曜休館。

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