長谷川等伯筆の「山水図」に見入る来場者=金沢市の石川県立美術館

長谷川等伯筆の「山水図」に見入る来場者=金沢市の石川県立美術館

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銘品ぞろい「奇跡の邂逅」 金沢3会場で「美のチカラ」展開幕

北國新聞(2018年4月22日)

 金沢美術倶楽部(くらぶ)の創立100周年記念展覧会「美のチカラ」(北國新聞社特別協力)は21日、金沢市の石川県立美術館、金沢21世紀美術館、金沢市立中村記念美術館の3会場で開幕した。千利休や豊臣秀吉が手にした伝説の名茶碗(ちゃわん)をはじめ、美術商が選りすぐった県内外の銘品がそろい踏みし、来場者は茶道美術の「奇跡の邂逅(かいこう)」に心揺さぶられた。
 県立美術館では「美の力」と題して展示が行われた。国宝4点、重要文化財34点をはじめ、地元古美術界を支えた同倶楽部と同館開館35周年の節目に合わせて集めた個人秘蔵品を含む約140点が特別公開された。
 北野大茶湯で秀吉が用いたとされる大井戸茶碗「シコロ」や、利休の美意識を象徴する黒楽茶碗「北野」など名品が並んだ。七尾出身の画聖・長谷川等伯が、住職春屋宗園(しゅんおくそうえん)の不在の隙に描き上げたという京都・三玄院のふすま絵「山水図」など石川ゆかりの名品も数多く、来場者は利休が大成し、加賀で現在も息づく茶道文化に思いをはせた。
 開場式では、谷本正憲知事があいさつ、山野之義金沢市長が祝辞を述べた。
 金沢21世紀美術館では、洋の東西を問わず、優れた美術品と向き合う「POWER OF ART」が開かれ、初日から作品解説が行われた。
 同倶楽部展覧会担当委員長の谷村庄太郎さんが「来歴や作者は関係なく、シンプルに作品そのものを感じてほしい」と呼び掛けた。同倶楽部の100周年に合わせて入り口に展示した「鏡獅子」は、文化勲章受章者の平櫛田中(ひらくしでんちゅう)氏が100歳で制作した作品であることなどを解説した。
 中村記念美術館の「茶(ちゃ)事(じ)の妙」では前期展が始まり、実際の茶会に見立ててそろえた道具が展示された。濃茶の茶碗には、秀吉が秘蔵した大井戸茶碗「筒(つつ)井筒(いづつ)」が据えられ、来場者は天下の名碗で一服する様を想像しながら観賞した。
 会期は5月20日までで、観覧料は県立美術館、金沢21世紀美術館が1千円、中村記念美術館が300円、いずれも高校生以下無料となる。

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