ことし生誕300年を迎えた江戸時代の僧・木喰(もくじき)上人を顕彰する取り組みが柏崎市で進められている。木喰上人は全国を歩き「木喰仏」と呼ばれる独特の仏像を彫ったことで知られる。柏崎観光協会によると、晩年を一時過ごした柏崎市には、全国最多とされる83体の仏像が残る。市や同協会はゆかりの地として、観光振興にもつなげたい考えだ。
木喰上人は1718年に山梨県で生まれ、出家後は仏像を制作しながら全国を行脚した。柏崎市には、1804年から05年にかけて滞在。市内の寺や集会所、個人宅に仏像が残っている。仏像は「微笑仏」と称される、独特の優しい表情が特徴で、国内には約630体が現存するとされる。
生誕300年となることし、柏崎市立博物館は3月に木喰上人の専門コーナーを設けた。市内各所から預かっている大日如来像や弘法大師像など「木喰仏」計9体を展示。自画像などの関連資料や生涯を記したパネルも置き、市とのゆかりを紹介している。
また、柏崎市や観光協会などで作る柏崎地域観光推進協議会は、仏像の残る場所をめぐるスタンプラリーを行っている。8体が安置されている「枇杷島十王堂」など3カ所と同協会を回れば、抽選で木喰上人のストラップやクリアファイルが当たる。期間は6月末まで。
市立博物館の渡辺三四一・学芸員は「木喰上人は静かに仏像が作れる場として柏崎や越後に滞在したのだと思う。これを機会に、多くの人に木喰仏の魅力を知ってもらいたい」と呼び掛けている。
問い合わせは博物館、0257(22)0567、または観光協会、0257(22)3163。