世界・日本農業遺産への認定を目指す氷見市の「氷見農業遺産推進協議会」設立総会が4日、市役所で開かれ、「ひみ寒ぶりを育む農林水産循環システム」をテーマに今後、国への申請案をまとめる方針を了承した。期限は20日で、8月に国の専門家会議による1次審査が行われる。
世界農業遺産は、国連食糧農業機関(FAO)が認定する世界的に重要な農林水産業システムで、国内では11地域が認定を受けている。FAOへの申請には、国内版の日本農業遺産への認定が必要。
協議会事務局が今回示した申請案の骨子では、ひみ寒ぶりに代表される海の恵みの背景に、森林の養分が水田を経て海に流れ込むという循環の仕組みがあると説明。越中式定置網漁法には約400年の歴史があり、海外で技術指導を行っている点や、イタセンパラなど希少な動植物が生息する環境といった要素も挙げ、将来にわたり生かすべきシステムとしている。
総会には市内の農林水産業や観光、商工、教育機関の代表者17人が出席。会長に就いた林正之市長は「古里に愛着と誇りを持てる環境を整え、ブランドを確立することで、今後の市の活力にしたい」と遺産認定の意義を強調した。
骨子案に対して会員から「定置網が環境に優しい漁法であることを盛り込んでほしい」「大境洞窟遺跡の時代から漁業の営みがあったことも重要だ」などの意見が出された。次回の総会は15日に開く。
▽副会長=猶明孝信(市自治振興委員連合会長)▽監事=伊藤宣良(JA氷見市組合長)森本太郎(氷見漁協組合長)