坂城町のワイン醸造会社「坂城葡萄(ぶどう)酒醸造」が、町内で初となるワイナリー(ワイン醸造所)を完成させた。レストランを併設し、7日にオープンする。町内産ブドウで醸造したワインを提供するほか、ワイナリーやブドウ畑の見学を受け付けたり、地元の刀工や芸術家の作品に触れてもらったりして、県内外から客を呼び込んで地域の魅力を発信する計画だ。
同社は、長野市でイタリア料理店とカフェを営む成沢篤人さん(41)=坂城町=が設立した。ワイナリーとレストランは「ヴィーノデッラガッタサカキ」で、建物はそれぞれ約100平方メートルの平屋。レストランでは、この秋から登場する予定のワイナリーで造ったワインや、イタリア産ワインなど200種類以上を用意。提供する料理も県内産食材にこだわり、ワインに合った料理を出す。
飲食店経営者の有志らと県産ワインを楽しむ催しを開いてきた成沢さんは、2011年から町内で赤ワイン用のブドウ「カベルネ・ソービニヨン」などを育て、15年に初めて委託でワインを醸造した。現在の畑は約2ヘクタール。町内のブドウ畑は水はけが良い土壌が特徴で、ワインは凝縮した味わいに仕上がるという。
自社で生産、提供するワインは、グラス1杯500円ほどからの価格で提供する予定。成沢さんは、国産ワインは品質が良いにもかかわらず、価格の高さなどからファンがまだまだ少ないとし、「坂城から国産ワインのおいしさを知ってもらえるようにしていきたい」と話している。
レストランは、坂城町をアピールする拠点にもしたい考え。町は人間国宝の刀工の故宮入行平さん(1913〜77年)の出身地で、多くの刀匠を育てたことから「刀匠の町」と呼ばれており、店内には町在住の刀工、宮入小左衛門行平さんの短刀を展示。入り口の壁には、町出身の現代アーティスト小松美羽さんに作品を描いてもらい、訪れた人を出迎える。
レストランの営業時間は、ランチが午前11時半〜午後3時、ディナーが午後5〜9時。不定休。