白山を開山した泰澄(たいちょう)大師の偉業をたたえる「白山まつり」は14日、白山市白峰地区で2日間の日程で開幕した。開山1301年目を迎えた今年のまつりでは、市内外からの来場者が昨年に引き続いて県無形民俗文化財「かんこ踊り」に参加した。開山の祖や霊峰の恩恵に対する感謝の心を一つに踊りの輪を広げ、次の節目へ受け継ぐ思いを新たにした。
かんこ踊りは、717(養老元)年に泰澄大師が修行を終えて無事に下山したことを祝い、村人が踊ったのが起源とされる。白山まつりの輪踊りはピーク時に約300~400人が参加した。しかし近年は100人程度にとどまっていたため、開山1300年の昨年、1300人の参加を目指す取り組みが始まった。
今年は白山まつり実行委員会の委員がチラシを配布したり、会員制交流サイト(SNS)を使用したりして参加を募った。今回は昨年の千人には及ばなかったが、約800人(主催者発表)が「かんこ」と呼ばれる太鼓の音と情緒豊かな歌に合わせて白峰温泉総湯前に三重の輪をつくった。
白山ユネスコエコパークを学ぶため白峰で合宿しているロシアの大学生14人、白山しらみね自然学校と連携して白峰でホームステイしている金大の外国人留学生12人も参加し、青年団のみこしや輪踊りを盛り上げた。ロシアのコチェギヌ・イルヤさん(21)は「踊りは難しそうに見えたが、輪に入ると簡単だった。大変素晴らしい文化で、多くの若者に伝えていってもらいたい」と話した。
子どもみこしや児童による金管パレード、民謡のステージなど多彩な催しもにぎわった。下山する泰澄大師一行を再現した行列では、泰澄役の山口辰範さんら16人が集落を練り歩き、白山市内の修験者でつくる「白山修験」のメンバーも初参加した。山田憲昭市長も訪れ、開会式であいさつした。最終日の15日は「白山延命水」を載せた山台(だし)の巡行などが行われる。
会場近くの織りの資料館白山工房では、県無形文化財の絹織物「牛首紬(うしくびつむぎ)」の展示即売会「織座市」が始まり、着物や小物など約600点が並んだ。15日まで。