火文字をともし、太鼓の演奏が繰り広げられた横江の虫送り=白山市横江町

火文字をともし、太鼓の演奏が繰り広げられた横江の虫送り=白山市横江町

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白山市の伝統行事、豊作祈る 横江の虫送り

北國新聞(2018年7月16日)

 300年以上の伝統を持つ白山市無形民俗文化財「横江の虫送り」は15日、同市横江町で行われ、太鼓の音が響く中、「虫送」の火文字が夜空に浮かび上がった。今年は、同町一帯にあった荘園が1200年前に奈良・東大寺の所領となった史実にちなみ、同町の国史跡「東大寺領横江荘(よこえのしょう)遺跡」近くで育てた古代米を同寺に寄進するプロジェクトが進んでおり、住民は水田の回りを練り歩いて秋の実りを祈った。
 虫送りは、農薬のなかった時代にたいまつの炎や太鼓の音で害虫を追い払い、豊作を願った伝統行事。午後7時半ごろ、地元青年会の太鼓を先頭に行列が同町の宇佐八幡神社を出発し、住民はカンテラやたいまつを手に農道を歩いた。今年は東大寺への寄進に向け、5月に地元の子どもらが古代米「紫黒(しこく)米」と「緑米」の苗を植えた約650平方メートルの水田も巡った。
 午後8時半ごろ、神社前に設けられたアーチに火がともり、中央の火文字が暗闇に浮かんだ。祭りが最高潮を迎えると、太鼓を担いだ若衆が一気に境内に向かって駆け、勇壮にばちを振るった。
 横江町を含む郷地区町内会長会が進めるプロジェクト「東大寺領横江荘誕生1200年祭」は、ふるさとの文化財に関心を高めてもらう狙いで、10月に古代米の稲を刈り取り、11月ごろに東大寺への奉納を予定する。プロジェクト実行委員長の中村晃さん(63)は「節目の年に古くから続く習わしを盛大に再現できた。住民が歴史を知るきっかけになればうれしい」と話した。

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