上田市別所温泉地区で15日、国選択無形民俗文化財の雨乞い行事「岳(たけ)の幟(のぼり)」が行われた。色とりどりの布を取り付けた竹竿(たけざお)を掲げる地元住民や着飾った少女たちの行列が練り歩き、夏の温泉街は華やいだ雰囲気に包まれた。
雨の少ない同市塩田地域にある別所温泉で、戦国時代の1504(永正元)年の干ばつを機に始まったとされる。早朝、地区役員らが別所温泉の西にそびえる夫神岳(おがみだけ)(1250メートル)山頂にあるほこらに反物や供物を供え、五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を祈願した。
午前8時すぎに行列が開始。頭に花笠(はながさ)を載せて着飾った塩田西小学校の女子児童らに続き、地区住民が竜をかたどったとされる幟を掲げて歩いた。温泉街各地で児童らが竹を細工した「ささら」を小気味よく打ち鳴らして踊り、青年らが「三頭(みかしら)獅子」を舞って見物客を沸かせた。写真撮影に訪れた佐久市の由井正生さん(66)は「カラフルな幟や街並みなど他にない雰囲気が魅力的」と喜んでいた。