江戸時代の浮世絵師、歌川広重の代表作を貴重な初摺(しょずり)で楽しめる企画展「平木コレクション 歌川広重の世界―保永堂版東海道五十三次と江戸の四季」が7月21日、福井県の福井市美術館で開幕した。夏休み初日とあって、熱心な浮世絵ファンに加えて中高生も足を運び、鮮やかに浮かび上がる街道絵の旅情に浸った。
世界有数の浮世絵版画コレクションを誇る平木浮世絵財団(東京)の名品153点を紹介する展覧会。江戸から京都までの宿場を描いた「東海道五十三次」の全55点が貴重な保永堂版の初摺でそろい、広重自身が完成まで立ち会い実現した色の美しさを楽しもうと、長時間立ち止まって鑑賞する姿が目立った。
広重が最晩年に画業の集大成として江戸を描き、ゴッホも模写したことで知られる「名所江戸百景」は、縦画面の大胆な構図と色使いが見る人を引き付けている。明倫中2年で美術部員の脇本凛々さんは「東海道五十三次はどれも配色が美しく、奥行き感がある。遠く長い道のりが見えるよう」と話していた。
会場では、同財団の佐藤光信理事長による講演会もあった。9月2日まで(8月13日以外の月曜休館)。一般1200円、高校・大学生800円、小中学生500円。ピカソ展との一般共通券は2千円。問い合わせは福井市美術館=電話0776(33)2990。