南砺市城端の菓子店「田村萬盛(まんせい)堂」は、地元で育てられたカイコのふんを活用したクッキーを作った。乾燥させたふんが漢方薬などとして重宝されていることに着目し、菓子に混ぜ込んだユニークな商品。城端地域が誇る伝統産業、絹織物のPRにつなげる。
クワの葉を食べて育つカイコのふんには良質の葉緑素が多く含まれているとされ、漢方薬「蚕沙(さんしゃ)」や食品色素の原料などとして活用されている。城端地域は古くから絹織物業が盛んで、店主の田村悟敏さんがこれを生かした菓子を作れないかと試作を重ねた。
商品名は「蚕紗(さんしゃ)」。地元の絹織物製造、松井機業場からふんを譲り受け、南砺市産の米粉を使ったクッキー生地に粉末状にして混ぜ込んだ。2匹の蚕が一つの繭玉を作る伝統の「しけ絹」をイメージし、1袋に繭形のクッキーを二つ入れた。クルミの香ばしい味とともに、ほんのりと緑茶のような香りが楽しめる。
クッキーの袋を結ぶモールはカイコの触覚をイメージ。土産物などとして人気を集めているという。田村さんは「ふんを使った菓子だけに反応にどきどきしていたが、予想以上に好評。ぜひ一度味わってみてほしい」と話している。価格は146円(税込み)。