ライトオンが販売している栃尾のスペック染めを生かしたTシャツ

ライトオンが販売している栃尾のスペック染めを生かしたTシャツ

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栃尾の染め物シャツに新風 大手チェーン商品化 長岡

新潟日報(2018年8月7日)

 新潟県内有数の織物産地、長岡市栃尾地域の染色技術を前面に出したシャツを、大手カジュアル衣料品チェーン「ライトオン」(東京)が発売した。産地名が製品の売りになることは少なかったが、高い技術を持つ国産の新ブランドとして開発された。栃尾の染め物業者は「従業員のやる気になる。産地の維持にもつながるのではないか」と期待を寄せる。

 商品は「メード・イン・ジャパン」ブランドとしてインターネット限定で販売している。栃尾の染め物や、静岡県の織物「遠州木綿」など全国4、5産地にスポットを当てた。

 今春発売された栃尾産のTシャツは、大量生産が難しいため160枚の限定販売。価格は5400円(税別)と、2千~3千円の商品が多いライトオンの中では高価だが、売り上げは好調という。8900円(同)の長袖シャツは完売間近だ。

 生地の基となる糸を作ったのは、栃尾地域にある染色・織物メーカーの港屋。染料の粒子の大きさを不均等にする「スペック染め」で染め上げる。色むらやかすれを出し、ふんわりと柔らかな印象に仕上げるのが特徴だ。

 ライトオンによると、スペック染めでまとまった数量を出せる産地は全国でも栃尾地域だけだという。

 スペック染めできれいに染め上げるには職人の技術が必要で、機械化が難しい。通常の染め物の5、6倍の時間がかかる。ライトオンのホームページには、これまで港屋が公開してこなかった生産工程も紹介されている。

 港屋の星野貴宏専務(43)は工場内の写真掲載を提案された際、ためらった。生産工程や職人の技術は門外不出とされてきたからだ。しかし「手間をかけて作り、付加価値を付けて売る理由をPRするには有効だと思った」とゴーサインを出した。

 栃尾織物工業協同組合の会員はかつて100社以上あったが、現在は11社。生産高は1984年の約408億円をピークに、2017年は約30億円と10分の1以下に落ち込んだ。安価な海外製品の流入が主な要因だ。

 港屋の星野善彦社長(51)は「手間とコストをかけても良い物を作る。それが最終的に産地の維持につながればいい」と話している。

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