「呉羽梨」の主力品種「幸水」の出荷が8日から始まる。春には、葉や果実の皮に黒い斑点が出る「黒星(くろほし)病」の流行の兆しがあったが、生産者の対処で拡大を防ぐことができた。記録的な猛暑の影響で果実は小ぶりだが、味は上々で、出荷量は例年並みの1100トンを確保する見込み。生産者からは「黒星病や異常気象への対応に追われて大変だった」との声が聞かれた。
7日には富山市吉作のJAなのはな呉羽梨選果場で「目ぞろい会」が開かれ、生産者が収穫に適した果実の色や大きさを確認した。
選果場や県富山農林振興センターによると、今年の幸水は例年より小さく、果汁が少なめだが、食感が良く、糖度は13・5~14度ほどと過去10年で最も高くなった。
黒星病は、病原菌が葉や果実に付いて広がる伝染病。発病しても問題なく食べられるが、斑点が多いと見た目が悪いため出荷できない。呉羽では2015年に大流行し、出荷量が例年の約6割にまで落ち込んだ。
今年は5~6月に斑点の付いた葉が急増。生産者は、葉から果実にうつるのを防ぐため、斑点の出た葉を1枚1枚摘み取る作業を進めた。その結果、7月中旬の調査で、果実の発病率を1・4%に抑えることができたという。
ナシ農家の庄司等さん(52)=同市吉作=は「人の手で葉を摘むしかなく、気がめいる作業だが、15年の大流行の教訓で、みんな一生懸命に対処した」と話した。
天候への対応にも追われた。豪雪によって枝や果樹棚が破損。7月の梅雨明け以降は雨が降らず、猛暑日が続いた。土田昭選果場長は「小玉傾向の果実は、最盛期の今月20日ごろには例年通りの大きさになるだろう。異常な気象の中でも、品質を確保できてよかった」と語った。
県内スーパーの店頭に並ぶのは9日から。