製作中のギターを手に「富山ならではのものを作りたい」と話す藤井さん=富山市今市の工房

製作中のギターを手に「富山ならではのものを作りたい」と話す藤井さん=富山市今市の工房

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世界が注目 手作りギター 藤井さん富山に移住・修業17年

北日本新聞(2018年8月17日)

 富山市今市でアコースティックギターの工房を構える藤井圭介さん(37)の元に、国内外から注文が寄せられている。完全受注生産で、デザインや弾き心地が愛好者だけでなく、アーティストからも支持されている。東京から移り住んで17年。富山の伝統産業とのコラボにも意欲的で、「風土を生かしたギターを作ることが目標」と力をこめる。

 木の香りが漂う広さ8畳の工房の壁には、ニッパーやノギス、ドライバーといった道具が整然と並ぶ。製作中のギターのボディーには、緑や茶色のガラスの装飾が組み込まれている。初めて県内のガラス作家と取り組んだ作品だ。「ここは多様なものづくりが息づいている。ガラスだけでなく、さまざまなジャンルの職人と連携したい」と話し、ギターケースに県産材を使うことも考えている。

 藤井さんは少年期を神奈川や東京で過ごした。中学生の時、家にあった父のギターを何気なく弾いてみたところ、うまく音が出せなかった。「どうやったら、正しい音が出るのだろう」と、仕組みや内部構造に興味を持った。高校時代にはギター製作の道に進もうと決めた。2001年、富山市のギター製作家、杉田健司さんを訪ねて移住。11年間修業に励み、独立した。

 県内外の楽器店を通じて注文を受ける。卓越した技術は世界的に評価され、中国や米国など海外や国内の演奏家からも依頼がある。設計から加工、塗装まで全工程を1人で担い、完成には1、2カ月掛かる。オーダーメードのため、価格は70~150万円程度。同じ材料を使っていても職人の個性や感性で全く違ったものができるところが、ギター製作の魅力だと言い、「音色や造形美、弾き心地を満たしたものにこだわりたい」と語る。

 富山市出身の妻との間に0歳と4歳の子がいる。仕事が忙しくても、なるべく早く帰宅し、家族との時間を大切にする。「限られた時間に集中した方が、いいアイデアが出やすい」と語る。家族で富山県美術館で開かれるワークショップに参加するのが今の楽しみだ。

 北陸新幹線開業を機に富山のアートシーンの高まりを感じており、こうした流れに刺激を受けているという。「ギター作りを通して、富山の音楽文化を盛り上げることができれば」と、充実感がにじむ笑顔を見せる。

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