関西電力黒部ルートの一般開放へ、県と関電の協議が大詰めの段階に入ったことが22日、関係者への取材で分かった。受け入れ人数や料金など細部にわたっての調整で、交渉はヤマ場を迎えている。
黒部ルートは黒部峡谷鉄道の終点、欅平(けやきだいら)と黒部ダムを結ぶ約18キロの物資輸送路。「竣工(しゅんこう)後はこれを公衆の利用に供すること」との条件で国が関電に建設を許可。しかし、1959年の完成後も、関電は安全面に問題があるとして開放していない。現在は平日限定で年間2千人の無料見学を受け入れているが、県は観光振興に欠かせないとして長年全面開放を求めてきた。
昨年からは「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」などで協議し、関電は実現には最低3~5年の安全対策工事が必要と主張。県は国の許可条件を理由に対策工事は関電の責任で取り組むべきとする一方で、通行客の利便性向上につながる費用の一部負担は検討するとの考えを示している。
関係者によると、両者は受け入れ人数や料金設定などを協議し、土日を含めて有料で開放する方向で交渉を重ねている。
関電北陸支社は「協議はしているが、開放するかどうかも含め決まったことは何もない」としている。石井隆一知事は22日の会見で「立山黒部は県民の宝であると同時に日本の宝と言える観光資源。何としても理解してもらわなければいけないと思い、努力している」とルートの開放実現に強い意欲を示した。