親獅子の彫刻を制作する井波彫刻協同組合役員ら。左後方は老朽化した親獅子

親獅子の彫刻を制作する井波彫刻協同組合役員ら。左後方は老朽化した親獅子

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井波の象徴「獅子の子落とし」大彫刻再生

北日本新聞(2018年9月12日)

 南砺市岩屋(井波)の国道156号交差点にある「獅子の子落とし」の大彫刻が老朽化し、井波彫刻協同組合(藤崎秀平理事長)が修復作業を進めている。井波別院瑞泉寺の代表的な彫刻をモチーフにした地域のシンボルが、生まれ変わる。

 モチーフとした瑞泉寺勅使門の「獅子の子落とし」は故事の通り、獅子が千尋の谷に子を落とし、はい上がってくるのを見下ろす様子を表した。江戸時代の同寺再建の際、京都から派遣された彫刻師に習った井波彫刻の祖の作と伝えられる。

 大彫刻はラワン材などで作られ、高さ7・3メートル、幅4・8メートル。勅使門の彫刻を立体で再現し、脚を踏ん張って見下ろす親獅子の姿から迫力が伝わる。旧井波町が開町600年事業にちなみ、語呂合わせで「いなみ」となる平成5(1993)年7月3日に整備した。国道156号と、井波地域中心部へ通じる県道の分岐点に設置され、まちなか誘導の役割も果たしてきた。

 風雨にさらされ、2004年に修復されたものの、再び老朽化し、腐って崩れ落ちる部分も出てきた。このため、親獅子を改めて作り直し、崖や子獅子を配置した本体は腐食した箇所を削り取って、新たな部材をはめ込むことにした。作業は井波彫刻協同組合で請け負った。

 親獅子は長さ2・3メートル、高さ2メートル、幅1・5メートル。砺波市庄川町金屋の理事の工房で、藤崎理事長ら5人が制作。クス材を寄せ木で組み立て、チェーンソーを用いて大まかな彫りの作業を進めている。

 29、30日、南砺市北川の井波彫刻総合会館周辺で開かれる「井波彫刻まつり」で、延べ約70人の組合員が仕上げの彫りを公開実演する。10月に親獅子を取り付けて完成させる。藤崎理事長は「井波彫刻が日本遺産に認定された時期でもあり、新しい彫刻で大勢の観光客を迎えたい」としている。

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