飯田下伊那地域で生産が盛んな半生菓子や和菓子の製造業者向けに、あんこを製造している小西製あん所(飯田市)が、一般消費者向け独自商品の開発に乗り出した。地域の菓子製造業者の減少で販売が伸び悩んでいることを受け、新たな販路を開拓する狙い。あんこと豆腐や果物を組み合わせ、菓子作りなどに使える新しい食材として10月にも商品化する。
豆腐と白あんを独自の製法で混ぜ合わせた「tofuan(とうふあん)」は、滑らかな舌触りと軽い食感が特徴。カロリーは生クリームや練乳の半分程度で、胃にもたれにくいという。若い女性の菓子作りや、介護食のデザート作りでの利用を想定する。
ペースト状にしたブルーベリーや桃と、あんこを混ぜた商品も企画している。いずれも片手でも少量ずつ絞り出せるパウチ型の容器を採用。中身を搾り出しやすく、保存もしやすいように、あんこの軟らかさにも配慮する。価格は300グラム入りで500〜600円程度になる見通しだ。
同社は1956(昭和31)年の創業以来、半生菓子や和菓子の製造業者向けにあんこを製造してきた。しかし、近年は後継者がいない業者の廃業や、県外製あんメーカーの進出などで販売が頭打ちに。一般消費者向けの独自商品を開発することで、新たな収益源の確保を目指す。
独自商品のブランド名は「あんmarche(マルシェ)」とする。あんこの消費量が多く、食パンにあんこを塗った「小倉トースト」などの名物料理がある中京圏の小売店などに売り込む。小西進社長は「引き合いがあれば、10月後半にも販売を始められる」としている。問い合わせは同社(電話0265・22・1713)へ。