高山方面行きの代行バスに乗り込む観光客=JR猪谷駅

高山方面行きの代行バスに乗り込む観光客=JR猪谷駅

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代行バスの接続 不便の声 JR高山線・坂上-猪谷間

北日本新聞(2018年9月13日)

 西日本を中心に7月に発生した豪雨の影響でJR高山線の坂上(さかかみ)(岐阜県飛騨市)―猪谷駅(富山市)間が不通になっており、JR東海が代行バスを運行している。バスによる到着の遅れで、猪谷駅では接続が悪いと2時間半近く待たされるケースがあり、乗客から改善を求める声が上がっている。一方、JR東海と、猪谷―富山駅間を管轄するJR西日本は「需要や他の列車への影響を考慮したダイヤ設定で、現時点で変更の予定はない」と理解を求めている。

 JR東海によると、7月7~8日の大雨で角川―打保駅間は線路へ土砂が流入し、盛り土やレールが流出するなどの被害が出た。坂上―猪谷駅間は同6日から上下線で列車を運休。特急「ワイドビューひだ」も、飛騨古川―富山駅間で運転を見合わせている。いずれも運転再開時期は11月下旬を見込んでいる。

 JR東海は7月12日から代行バスを運行し対応。バスは現在、高山―猪谷駅間と、坂上―猪谷駅間で上下線合わせて1日24本走らせている。しかし、猪谷駅では一部で列車と代行バスの接続が悪く、乗り換えに時間がかかってしまうケースがある。

 例えば、午前9時40分高山駅発の列車。坂上駅で代行バスに乗り換えて猪谷駅に同11時4分に到着するが、富山駅行きの列車が猪谷駅を同10時51分に発車済みで、次の列車は午後1時43分。約2時間半の待ち時間がある。

 「代行バスで猪谷駅に到着したが、富山駅行きの列車が7分前に発車してしまい、1時間半以上待たされた」。高山方面を旅行した富山市の男性教諭(58)は帰り道、猪谷駅で待ちぼうけを食らった。男性の他に、外国人観光客20人ほどがぼーっと立って待っていたといい、男性は「もう少し調整できないものか」と訴える。

 JR東海は代行バスのダイヤについて、バス運行区間は高山方面に向かう乗客が多いため、猪谷駅ではなく坂上駅での接続を優先させたと説明。また、猪谷駅での接続の全てがうまくいっていないわけではないとし、「坂上、猪谷の両駅の接続をスムーズにするのは困難なこと。需要を考慮した結果で、現時点で変更の予定はない」と話した。

 JR西日本は、現状のダイヤを変えると、他のダイヤや富山駅での乗り継ぎにも支障が出てしまい、影響はさらに拡大してしまうと説明し、「ご理解いただきたい」と話している。


■災い転じて...外国人の観光増
 猪谷駅の周辺では、列車を待つ間に観光を楽しむ人が増えている。住民らも観光地を案内したり、外国人観光客向けのメニュー表を作ったりし、にぎわい創出に力を入れている。

 「人の往来が増えた」と話すのは、富山市猪谷関所館の林真務館長(63)。代行バス運行以降、リュックサックやキャリーバッグを持って周辺を散策する観光客をよく見かけるようになった。観光地を尋ねられることもあり、西猪谷関所跡や石仏の里など神通峡の名所や旧跡を案内しているという。

 猪谷駅の向かいで蜂蜜などを販売する森下友蜂堂の森下寛子さん(69)も、「ほとんど人が歩いていなかった町が少しにぎやかになった」と喜ぶ。外国人観光客が多いため、急きょ英語表記のメニュー表を作ったほか、駅の待合室で時間をつぶす観光客に観光地や地鉄バスの時刻を紹介したりしている。「学生時代に習った英語を数十年ぶりに思い出している」と笑う。

 猪谷駅前でレンタカー店を営む瀧本英昌さん(64)は、車に乗って猪谷の観光地を周遊することを勧める。「短時間で複数の場所を回ることができる」といい、「せっかくできた時間。猪谷で少し休んで、自然や景色を楽しんで」と話している。

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