海の中の魚などを描いた面白い構図の引札

海の中の魚などを描いた面白い構図の引札

福井県 勝山・大野 祭り・催し

勝山の明治・大正期チラシ 「引札」活況商い映す

福井新聞(2018年9月19日)

 明治、大正時代に福井県勝山市の商店が開店時などに得意先に配った当時のチラシ「引札(ひきふだ)」34点を集めた展示会が、9月24日まで同市教育会館で開かれている。浮世絵風の鮮やかな色合いと、目を引くアイデアにあふれた構図で描かれたものばかり。活気にあふれていた勝山の商いの状況がうかがえる。

 老舗和菓子店を営む丸屋仁志さん(81)=同市=が市内の商業者から借り受けたり、市民が保管していたものを譲り受けたりしたものが中心。市史編さん室の山田雄造さん(69)、勝山公民館が協力し開いた。

 引札は魚屋、しょうゆ製造、干物販売店などが開店時や年末年始に得意先に配ったもの。市内の印刷所で刷られたとみられ、色彩がカラフルなのが特徴。

 描かれた図柄は現在のチラシとは大きく異なる。商品はほとんど描かれず、大黒天や着物姿の女性、犬などどこかユーモラス。中にはバイオリンを奏でる洋装の女性と琴を弾く和装の女性が一緒に描かれたものや、潜水具を着けライトで照らされたふくよかな男性が描かれた斬新な構図のものもある。

 引札を調べた山田さんは「浮世絵の伝統を残し、非常にカラフルで斬新な絵柄のものばかり。人生を楽しみながら商売をしている様子にあふれている」とし、経済活動が明治期から自由になり、庶民が「近代をどうとらえたかを知る格好の資料」と指摘する。

 丸屋さんは「引札の印刷は当時は高価だったとみられ、繁盛していた店でないと出せないはず。にぎわった当時の勝山をしのんでほしい」と話している。

 入場無料。数点については9月いっぱい展示される。

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